掛川駅から南下すること10分。田園地帯にこの蔵はあります。明治5年創業だから蔵としては比較的新しい。初代の弥市から4代目の今の土井清幌まで一貫して品質重視の姿勢は、自他共に認める、静岡の地酒の代表と言えるでしょう。酒は水・米・人。水は蔵の南2kmにある古戦場跡・高天神城址に湧きいる水、自分も社長の案内で飲みましたがうまい、これがすっきりした中にふくらみのある開運の酒の酒質を決める。そして、優良の山田錦を惜しみなく使い、能登4天王と呼ばれる1人、名杜氏・波瀬正吉の技術。この蔵の最高の酒に杜氏名を冠するのは、この蔵が最初だったとか。
自分がまだ20代半ばの頃、地元の地酒以外知らない時、東京の地酒通の方に静岡の酒を聞くと、必ず返ってきたのが開運という名。これは行かねばなるまいと、土井さんのでっかい門をくぐるとやさしそうなお顔の社長が迎えてくれたのを憶えています。すぐに取引をしていただき今に至ります。県外の日本酒の会では、他の蔵元さんはいなくても、土井さんだけが1人で酒をすすめていた。当時、営業はこの酒といって、営業はもっぱら酒を携えた社長だけ。それが、すでにお客様から評価を得ていた社長の姿でした。飲まずして酒の生まれの良さがわかる、そんな風景でした。
酒造りを手伝わせていただいた事もありますが、この蔵のすごさはいつも進歩しているということ。蔵にいくたびに新しい事を見せてくれます。それは、精米器であったり、蒸し器であったり、酵母であったり、米の吸水であったり、瓶詰め処理であったり、冷蔵管理であったり、そして、酒であったり。その根本は杜氏を中心とする少数精鋭の蔵人のチームワーク、そして、30年以上に及ぶ杜氏と社長の2人3脚、これに尽きると思います。 |